にぎわう観光地の中心から、ほんの少しだけ外れてみたくなるときってありませんか?
指宿といえば砂むし温泉が有名ですが、実はそのすぐ近くに、地元の人の生活に根ざした、控えめだけど心に残る温泉があります。静けさを求める人にすすめたい「暮らしの中の湯」
その名も「こらん湯」。地図を見てもすぐには見つけづらく、SNSでもほとんど話題に上らない小さな湯処。
今回はそんな“隠れ湯”を実際に訪ねた体験をもとに、静けさと素朴さが魅力の「こらん湯」についてたっぷりご紹介します。
こらん湯の立地とアクセス
こらん湯は、真正面の建物の裏にあります。真正面のお風呂は共同浴場で会費制になってるため、誰でもが入れる温泉ではない、同じ敷地内に2件の温泉があるのも変わっています。

コラン湯通りすぎ注意!住宅街奥にひっそり

まず正直に言うと、「たどり着くまでが一苦労」です。
Googleマップに導かれて住宅街の中へ進み、車1台がやっと通れるような細い道を抜けると、目の前に木造の建物が。そこに「共同浴場」と掲げられているので「ここがこらん湯?」と戸惑います。
実際はその建物の裏側に「こらん湯」の入り口があり、左奥にまわっていくと、ようやく男女別の入口と、料金表示の貼られた引き戸が現れました。
すれ違った犬の散歩帰りの地元の方が「それ、ここだよ」と気さくに声をかけてくれて、ようやく胸を撫でおろす私たち。
知らなければスルーしてしまいそうな場所だけど、それだけに「見つけたぞ!」という達成感もあるんです.
こらん湯へのアクセス・基本情報まとめ
アクセス方法 | 詳細 |
🚗 車 | 指宿駅から車で約5分、駐車場10台ほど |
🚃 電車+徒歩 | JR二月田駅より徒歩約25分 |
🅿 駐車場 | 敷地内に無料(10台) |
こらん湯で体感した、まるで時間が止まるような静けさ
脱衣所は棚とカゴだけのシンプルな造り。でも、木の香りと湯気が混ざる空気に、どこか懐かしさを感じます。
浴室に入ると、視界いっぱいに広がる湯気。その中からゆらゆらと揺れるお湯の面が見え、まるで映画のワンシーンのような静けさでした。
湯船の一つはやや熱めで、もう一つはL字型の深い浴槽で、立ったまま胸元までお湯につかれる設計。
軽く歩くように動かしてみると、下半身のむくみがすっと抜けていくのがわかりました。
こらん湯のお湯と、知られざる「教え」
お湯は無色透明。とろみはなく、でも指先にまとわりつくようなやさしい感触があります。
泉質はナトリウム-塩化物泉。あたたまり方がゆっくりで、入浴後もポカポカが長く続きました。
かけ湯は“ただのマナー”じゃなかった!?
洗い場で体を流していたら、おばちゃんがそばでひとこと。「肩からかけ湯をすれば、体が“お湯に入る準備をしてるよ”て言ってるんだよ」と声をかけてくれました。
確かに、ただ形だけでかけ湯してた私にとっては、これはちょっと目からウロコ。たっぷりめに、首から肩、背中、足へと順にかけてみたら、さっきまで冷えてた体がふんわりゆるんでくる感覚があって、自然と湯船に入る心も整ってきた気がしました。
こらん湯は“忘れられる温泉”ではなく“忘れられない温泉”

「華やかではないけれど、じんわりと残る」
観光地の温泉によくあるような、サービス過剰な“演出”はここには一切ありません。
でも、こらん湯のような温泉に浸かったとき、人は何かを取り戻せるような気がするんです。
体の芯まであたたまり、静かに呼吸を整えられて、誰にも邪魔されずに湯に身を委ねる時間。
これはまさに「大人のごほうび」だと、改めて思いました。

湯船は大人2〜3人が入ればいっぱいになるくらいの広さ。湯加減は、驚くほどちょうどいい。ぬるめでも熱めでもなく、体温より少し高いくらいの感覚。肌にあたる感触がとてもまろやかで、思わず肩まで一気に浸かってしまいます。
お湯に浸かることで体が温まるだけでなく、呼吸も自然と深くなっていくのを感じました。まるでお湯がこちらのペースに合わせてくれているような、そんなやさしさがありました。

湯壺の構造が変わってて、四角いのが入ってすぐ右側にあって、真正面にL字型のプールみたいな湯壺っていうより、立った状態で胸の高さまで深さがあるんです!まるで本当の温水プールですよ!足の運動ができて足が軽くなりました。
そして何より驚いたのは、「音のなさ」。換気扇の静かな回転音と、お湯が注がれる音。それだけ。周囲の人も、なんとなく声を落として話していて、全体に“静寂を共有している空気”が流れていました。
誰もが“今を邪魔しない”という気づかいを自然にしていて、初めて来たはずなのに「ここにいていい」と思える安心感がありました。
体だけでなく、気持ちまでふわっと緩んでいくような感覚。湯に浸かるというより、“あたたかさの中に浮かんでいる”という表現のほうが近いかもしれません。
透明でクセがないお湯だから、誰でも入りやすい。肌あたりがやさしくて、ぬくもりが身体の芯から広がってくる感じです。
Q&A|初めてでも安心?気になることまとめ
質問 | 回答 |
---|---|
女性ひとりでも安心して入れますか? | 浴場内も落ち着いた雰囲気。地元の方も穏やかで居心地がよく、無理なく入れました。 |
駐車場はありますか? | 建物前に無料の駐車スペースがあります(台数は限られていますが、回転も早めです)。 |
備品(シャンプー・石けんなど)はありますか? | 基本的にありません。地元スタイルの公衆浴場なので、タオル・シャンプー類は持参がおすすめです。 |
受付・支払い方法はどうなっていますか? | 料金箱が設置されています。お釣りも用意されていますが、小銭を用意していくとスムーズです。 |
子ども連れでも大丈夫ですか? | 静かな空間なので、年齢や時間帯を考慮すれば。脱衣所も十分な広さがあります。 |
こらん湯は“忘れられる温泉”ではなく“忘れられない温泉”
「華やかではないけれど、じんわりと残る」
観光地の温泉によくあるような、サービス過剰な“演出”はここには一切ありません。
でも、こらん湯のような温泉に浸かったとき、人は何かを取り戻せるような気がするんです。
体の芯まであたたまり、静かに呼吸を整えられて、誰にも邪魔されずに湯に身を委ねる時間。
これはまさに「大人のごほうび」だと、改めて思いました。
こらん湯はこんな人にこそすすめたい理由
癒しを探している大人旅にちょうどいい
旅の予定を詰めすぎたとき、あるいは観光の喧騒に少し疲れたとき。そんな“少し立ち止まりたい気持ち”になった大人にこそ、こらん湯はしっくりきます。
ここでは、時間に追われることもなければ、誰かと競う必要もありません。湯に浸かる、それだけ。
でも、それだけなのに「なんだか整った」と思える。
心が慌ただしい日常を送っている人ほど、その“なにもしない贅沢”に気づける場所だと思います。
静かな場所を好む人にとっては、宝もののような温泉
最近はどこに行っても音楽が流れていて、にぎやかな空間がもてはやされがち。
でも、「静けさが欲しい」「音のない時間に身を置きたい」と思っている人にとっては、こらん湯の空気はまさに宝物です。
誰かが静かにお湯をすくう音、風で少しだけ軋む窓の音。そうした“静かな音”だけで過ごす40分は、想像以上に深い癒しになります。
自分の呼吸に気づき、自分の体の温まり方に向き合える──そんな体験は、派手な温泉では味わえないかもしれません。
まとめ|時間に追われない「こらん湯」の魅力とは?
こらん湯に足を運んだ日、派手な風景は何もなかったけれど、心に残る“感触”だけがしっかり残りました。
木の床、古いタイル、そして透明なお湯が、何も言わずに静かに寄り添ってくれる。
特別な体験ではないけれど、日常から一歩だけ離れたかったときに出会えた、ちょうどいい温泉。
だからこそ、「また来たい」と思える。
あなたが静かな場所を求めているなら、こらん湯はその“答え”になってくれるはずです。
「華やかではないけれど、じんわりと残る」
観光地の温泉によくあるような、サービス過剰な“演出”はここには一切ありません。
でも、こらん湯のような温泉に浸かったとき、人は何かを取り戻せるような気がするんです。
コメント