「せごどん(西郷隆盛)も入ったって言うなら、そりゃ行ってみたくなるよね!」と、車を走らせ向かった先は、鹿児島県指宿市にある『区営鰻温泉(くえい・うなぎおんせん)』。地元では知られた存在だけど、観光パンフにはほぼ載らない、まさに穴場的スポットです。
見た目は素朴な平屋の共同湯ですが、実は「蒸し料理まで楽しめる」「湯けむりが幻想的」「地元の空気に包まれる」と、温泉好きの心をくすぐる魅力がギュッと詰まっています。
静けさの中にある、隠れた温泉の風景

区営鰻温泉があるのは、指宿の市街地から車で15分ほど離れた鰻池のそば。カルデラ湖である鰻池は、周囲を緑に囲まれた静かな湖で、風が吹けば水面がゆらりと揺れて、まるで絵に描いたような景色が広がります。
温泉はそんな自然に溶け込むようにぽつんと建っていて、目印は木造の平屋と、ほんのり立ちのぼる湯けむり。「ここで合ってる?」と一瞬戸惑うかもしれませんが、それもまたローカル感あふれる醍醐味です。
鰻温泉へのアクセス情報
アクセス方法 | 時間 | 備考 |
車(指宿駅~) | 約15分 | 鰻池方面・無料駐車場あり |
バス | 焼く25分 | 鰻温泉停留所すぐ |
昭和の香り漂う木造建物に、癒しの熱湯あり

入口の番台で料金を支払ったら、レトロな木の床をきしませながら脱衣所へ。建物全体がしっとりとした懐かしさに包まれていて、まるで昭和にタイムスリップした気分になります。
中の浴槽は2〜3人が入れるほどのコンパクトサイズ。でも、注がれているのは自然に湧き出る自噴の源泉で、しかも源泉かけ流し。やや熱めの湯が静かに湯面を揺らしていて、じんわり身体の芯からあたたまります。

実際に入って感じたこと
最初は熱くてびっくり。でも5分もすれば「これぞ本物の湯だな」と納得。浴槽の中から聞こえてくる地元の方々の会話もなんだか和みます。「昨日の雨、よう降ったな〜」みたいな日常のやりとりが、逆に旅情を深めてくれました。
地元のおじちゃんたちが語らう声がまたいいBGMで、「ああ、これぞ日常の温泉だな〜」としみじみ感じさせてくれます。
湯けむりの向こうにある、“蒸し場”という特別体験

この温泉のすごいところは、入浴だけじゃないこと。施設の横には地熱を使った「蒸し場」があり、地面から湧き出る蒸気で、食材を蒸すことができるんです。
私たちは卵と小さなサツマイモを持参。スタッフの方が「ここに入れて15分くらいかな」と優しく教えてくれて、釜の中に食材をセット。
蒸している間も楽しい
足湯も近くにあり、湯けむりに包まれながらのんびり待つ時間もまた癒し。釜のフタを開けたとき、ふわっと立ちのぼる湯気の中から出てきた温泉たまごと芋は、まさに“ごほうび”でした。
▶サツマイモは水に濡らしてからアルミホイルに包むと、しっとり&甘さ倍増!
▶卵は冷蔵庫から出したてを使うと、半熟に仕上がりやすいですよ!
旅先で、自分で作った“天然スチーム料理”を味わえるって、なかなかできる体験じゃないですよね。
写真好きにも人気!湯けむりフォトの聖地

蒸し場の周囲は、実はかなり“映える”スポット。朝方や夕方に行くと、湯けむりが逆光に照らされてまるで映画のワンシーンのよう。
スマホでも十分に美しく撮れるし、人が少ない分、ゆったりと撮影に集中できます。蒸気のなかからゆっくり現れる釜のシルエットは、写真好きにはたまらない瞬間です。
この地を訪れたとき、西郷どんは13匹の犬を飼っていて狩りとかに行ってたそうです。それにあやかって、地区ぐるみの活動でワンちゃん13匹と、鰻池の昔からの活動とか有り様の動きを説明した看板が何箇所かに立っています。完全に観光地化していると思いました。
歴史のロマン。「せごどん」も訪れたという伝説

実はこの鰻温泉、あの西郷隆盛が入浴したという言い伝えがあります。記録としての裏付けはありませんが、地元では「せごどんが湯治に来た」と今も語り継がれています。
鰻池の風景や、じんわり沁みる湯の感触は、きっと当時の彼の心と体を癒したんだろうな…と、湯に浸かりながら思わず感慨深くなりました。
こんな人におすすめ!
タイプ | おすすめポイント |
地元温泉好き | 観光客の少ない静かな雰囲気、レトロ感 |
写真好き | 湯けむりと自然のフォトスポット豊富 |
体験型が好きな方 | 自分で作る温泉蒸し料理が、旅の思い出になる |
歴史ロマンに浸りたい方 | 西郷隆盛との関係が語られる、知る人ぞ知る史跡的スポット |
まとめ|「静かな場所にこそ、本物の温泉がある」

観光名所のような派手さはないけれど、鰻温泉には“暮らしと共にある湯”の良さがあります。ふらっと訪れ、熱めの湯にじんわり癒され、手作りの温泉たまごを味わって帰る、そんな旅のひとときが、心に残るって、いいと思いませんか?
「せごどんもここで癒されたのかも」なんて想像しながら浸かる温泉は、どこか特別な時間をくれるもの。指宿に行くなら、ちょっと足を延ばしてこの静かな名湯にも触れてみてください。
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